#2

それぞれの進路を決め出さないといけない9月私は進学する高校に悩んでいた。
優李はこの地域で1番賢い学校を受けるらしい。

中元は、どうなんだろう。
いや、ほんとは――

「おい。高井。
何ぼさっとしてんだよ。」

「花本じゃん。びっくりさせないでよ。」


たわいもない会話が繰り広げられる。

「美希。私、琉斗に振られた。」



私たちの話が止まった。
優李の話を聞く。
どうやら喧嘩してそのまま別れたらしい。

「しゃあねぇから、俺が慰めてやるよ。」

「べつに花本に慰められたって嬉しくないもん!」


あれ、どうしてちくちくするの。
私、中元が好きなはずなのに。



「おい、お前何ぼーっとしてんだよ。
長谷が失恋してんだぜ。」

「あーっ、そんな事言ったらもっと傷つく!」

優李、元気に振舞ってるけどほんとは元気じゃないよね。
笑顔の合間に時折見せるそのひきつりは手に取るようにわかるよ。


私も自分の気持ちに整理つけようかな。




放課後、中元の元へ歩み寄る。

「あのね――。」



結果なんて言うまでもない。
元々優李みたいに賢いわけでも可愛げがあるわけでもない。
性格だって曲がってるし、化粧に頼ってる。

「やめようかなー、化粧。」




「うん、俺そのほうがいいと思う。」


振り返るとそこには花本がいた。

「わりぃ、聞くつもりなかったんだけどな。」

「聞いてたんでしょ。
一緒よ。」


「だな。」


ふっと笑った君の横顔は何故か忘れられなかった。
中元なんてすぐに忘れられたのに。