夏休みも終わり、
学校が始まる。

家には久々に母が帰ってきて、
あーだこーだブツブツと独り言を言っている。

ふー。今日から頑張るぞ!!

「よし!おかあさーんいってきまー」

ピンポーン



「セイちゃんかしら?」


ガチャ。
扉を開けた母がびっくりしている。。


「どうしたの?お母さん?」


「あっ。。。まどか。。。部屋戻ってなさい。」


扉の前にいたのは早瀬冬馬。。

母の顔を見てすぐにわかった。。。

冬馬くんのこと知ってたんだね。。。


「冬馬くんおはよう!!
お母さん。。私もう知ってるから。
お父さんと冬馬くんのこと」


「え??まどか。。どういうこと??」

早瀬冬馬は深くお辞儀し、
母の顔をしっかり見て話し出した。。

「お母さんが帰ってきたって聞きまして、
改めてちゃんと挨拶にきました!
あの。。。。本当のすみませんでした!」

再び深く頭をさげる早瀬冬馬。

母は早瀬冬馬をどう思っているんだろう。。
考えたことなかったけど、
やっぱ普通は恨むもの??


「冬馬くん頭上げて!大きくなったわねー。
隣に住んでるって知ってたんだけど、
こちらこそ挨拶に行かなくてごめんね。
まどかも冬馬くんも知らないし、
まさか。。。覚えてないって思ってたから。。。
。。。。
ほら。。立ってないで上がって!
旦那に挨拶して行ってあげて」

母が父の仏壇のまえに、早瀬冬馬を連れて行く。

。。。
母の顔からは恨みなどは感じられない。
むしろその逆。
とても穏やかだ。。

「。。。冬馬くん。あの時のこと覚えてたのね。。旦那のことも。。
。。。」


「本当に二人には申し訳ないことをしたと。。
二人から大切な人を奪ってしまって。
本当に。。本当に申し訳ありませんでした。」

「ねぇ。冬馬くん?頭上げて?ねっ?
。。。。
旦那はね、カメラマンしてたの。
たまには戦場に行ったりして。。だからいつか、こういう時が来るって思ってたの。
あの人、自分よりも他人を大切にする人だったし。
まっ、私もそんな旦那が好きだから仕方ないんだけどね。
でもね、その相手が冬馬くんでよかったって思ってるのよ?冬馬くんはね。セイちゃんのお孫さんだし、小さい頃からよくまどかと遊んでたのよ?
冬馬くんのお父さんは忙しくてなかなかこっちには遊びに来なかったけど、お母さんと二人でおじいちゃんおばあちゃんに会いに来てね。
あの事故があってからは、こなくなっちゃったけど。。また会えて嬉しいわ。
しかもこんなにたくましくなって。。

旦那も喜んでるわ。。

きっと。。」