馬車にゆられ、到着したのは豪華な城の前。

かなり位が上である私でも実際に来るのは初めてだ。

「お待ちしておりました。アリア様。」

最初に出迎えたのは銀髪に青い目をした端正な顔立ちの王子の側近と名乗る男だ。

「申し遅れました。私はクロウドともうします。」


「あ、フィーロウ家長女、アリアともうします。どうぞお見知りおきを。」


美しさに見とれ、一瞬目を奪われる。

ん?

品の良い微笑みをにたたえたその瞳が、一瞬赤く見えた。

「いかがいたしました?」


私がクロウドさんの顔を食い入るように見つめていると、首をかしげて尋ねられる。


気のせい?


「いえ、あまりに美しいお顔だったので、つい。」

適当にごまかす。
勿論、無表情で。


「これは。お褒めにあずかり光栄です。では、ご案内します。どうぞこちらへ。」 

スッと手を差し出す様はまるで王子のように様になっていた。

そんなクロウドさんの手に自分の手を差し出す。