ルキ・ルメルシアとは間違いなくこの国の王子の名前だ。
しかも、冷酷非情で人を人とも思わないような、冷たい人だとか、気に入らない相手がいたらその町ごと潰すだとか、良い噂はまず聞かない。
そんな王子が何故私を?
話すどころか顔も見たことがないのに城に召し抱えるなんて。
疑問と不安を抱えながら迎えた当日だが、いまだに実感がわかない。
「アリア様。お時間です。」
いつにもまして来るのが早い。
どうせ父にでも言われたのだろう。
「はい。すぐに行きます。」
それからあれよあれよというまに馬車に乗せられ、城へ向かう。
あぁ、父様。
私はそんなに邪魔ですか?