「着きましたよ~お客さん」

俺と福田は、初めて出会ったガチのゲイに、少し緊張しながら、お金を払った。

そして、そのお金を小指を立てて受け取る生物は、まるでオッサンの姿をした少女のようなゲイだ。

俺と福田がタクシーから降りた後、オッサンは不器用なウインクをして走り去って行った…

(オッサンのウインクほど気持ちの悪いものはないな…)

そんなことを考えながら俺は眠らない街、新宿2丁目に足を踏み入れた。

「月見さん…やっと来ましたね。新宿2丁目に…」

「あぁ…険しい道のりだったな…」

俺と福田は警戒心を持って2丁目を突き進んで行く

(ん~しかし飲み屋だらけだな…)

(ん!?何だ!?この感覚…)

新宿2丁目は何かが違う…

初めて来た俺が、まず思ったことがそれだった。

空気が違う…

すれ違う人、全員にとんでもない個性があるような気がする…

そんな2丁目の町並みは、俺が思っていたほど最新のビルは多くなく、

雑居ビルなども混じっていて、少し安心感みたいなものを覚えた。

「月見さん、オレが泊まれるところ探して来ますんで、そこらへんブラブラしといて下さい。」

確かに宿を探さないとヤバい時間帯だ…

「あぁ、わかった。見つかったら電話してくれよ。」

「はい!それじゃあまた後で!」

こうして俺は一人で、この街を歩くことになった。

(よし、水橋さんを探すとするか…)