『ガタンゴトン…ガタンゴトン…』
俺は今、電車に揺られながら、福田と東京にむかっている。
俺達が座っている車両は、何故か人が少なくて…
おっさん二人に小学生三人…そして右端の席に、ちょこんと座っている月見と福田の計七人だった…
車両の中は小学生の声とガタンゴトンだけが鮮明に聞こえてくる
そんな寂しい二人旅…
俺は福田に、水橋さんの母親について色々と聞いてみることにした。
「なぁ福田、水橋さんの母親って一体何者なんだ?」
「ん~。…謎の多い人ですからねぇ…オレの情報力でも分からないことが多いです。」
「情報力って…お前…お前こそ何なんだよ?!」
「………。」
『ガタンゴトン…ガタンゴトン…』
「オレは…松岡組が嫌いでした。」
電車に体を揺らしながら、福田は複雑な表情で語り始めた
「オレの親父は松岡組だったんですよ…。」
(松岡組!?)
「親父は酒を飲むとDVになるんですよ…。いわゆるドメスティック・バイオレンスってやつです。」
「よくオレや母親を殴っていました…オレはそんな生活に耐えれなかった…」
「ある日、オレは地獄のような日常から逃げ出したくて2ヵ月ぐらい家出をしたんです。」
「2ヵ月って!?…お前どこで寝泊まりしてたんだよ??」
「オレに情報屋のテクニックを教えてくれた、マッチェルボさんの家です。」
「マッチェルボ!?まさか…マッチェルボ山口か!?」
「はい…そうです。月見さんと闘った、あの人です。」