少しして車は停車しどこかへ着いたんだと分かる。





後部座席のドアは助手席から降りたチヒロさんによって開けられ





「ナオ、歩けるか」





そうキョウヤに聞かれているのにやっぱり声が出ない。





何だか頭までがボーッとし、視界が歪む感覚さえる。





そんな私を見てかキョウヤは先に降りると反対側のドアを開けて私の方へと身体を乗り出して来た。





「落ちるなよ」





そう言った瞬間ふわりと宙に浮いた身体。
いや、正確にはキョウヤに抱き抱えられた事により浮いた身体。





あぁ、やっぱり頭がクラクラする。





目の前にいるキョウヤの視界が潤んで見えるのは何だろう。





キョウヤが何かを私に向かって言っているのは分かる。けどその声が私に届く事はなく





私はゆっくりとその瞳を閉じた…