何故こんな所にキョウヤがいるの…
そう口にしたいのに喉の奥が熱くて言葉が出ない。
「お前こんな所で何してんだよ!」
珍しく声を荒げる彼は雨を浴びたのか、そのスーツの色は変色している。
「こんなズブ濡れになりやがって!」
いつもの余裕そうな表情はなく、その瞳はどこかいつもと違くて
「しかもお前…なんて顔…してんだよ」
そう言って切なそうに私を見つめた。
どうしてキョウヤがそんな表情をするのか、キョウヤの言うなんて顔とは何なのか…私には分からない。
だけど…
だけど…
キョウヤを見た瞬間ホッとしたのかな…
雨に紛れて、大きな雫が一粒私の顔をつたったように感じた……