渡す勇気はないけど、それでも武富君のために何かをしてみたいと思って入部を決めた。
じっとしているのが嫌な私は、こうと決めたらすぐに行動を起こす。
決めるまでが長いけど、決めたら即行動。
蘭に背中を押されたのもあるけど、調理部への入部はすんなり決めることが出来た。
「何を作るの?」
「えーっとねー、今日はクッキーとマドレーヌだよ」
「へえ。美味しそう」
甘いものに目がない蘭が目を輝かせる。
「部活帰りに、家に届けに行くね」
「ホント?」
「うん。感想聞かせてね」
「もっちろん!」
あわよくば、いつか武富君にも渡したいな。
勇気が出ないし、いつになるかはわからないけど。
お菓子作りがうまくなったら、手作りのお菓子を渡して告白してみようかな。
なーんて、そんな勇気はないけど。
でも、もしもこのままもっと仲良くなれたら、もしかしたら勇気が出るかもしれない。
なにかが変わるかもしれない。
そう信じて頑張ってみよう。