先生にバレないように小さくガッツポーズをする虎ちゃんを軽く睨む。


子どもじゃないんだから、くだらないことはやめて欲しい。


頼むから大人になってくれ。



指で次の塊を弾こうとする虎ちゃんは、間違いなくこの状況を楽しんでいる。



「やめてよね」



「いいだろ、ヒマだし」



ヒマって……。


今、授業中ですけどー。


ちゃんと授業を聞こうよ。


それでなくても、キミは居眠り常習犯なんだからさ。



その時、虎ちゃんの横にいた武富君がふとこっちを見た。


目が合った瞬間クスッと微笑まれ、ドキッと鼓動が跳ねる。



一瞬で虎ちゃんのことがどうでも良くなって武富君のことしか考えられなくなる私は、ホントに武富君バカだ。


相手にしなくなった私に、虎ちゃんは不服そうに唇を尖らせた。


だけどそれさえもスルーして、武富君をチラ見しながらノートを取ることに集中した。



そして迎えた昼休み。


図書室に行って、武富君がオススメしてくれた本を借りた。


5冊一気に借りたから、カバンがずっしり重くなったけど。


全然苦痛に感じないから不思議だよね。



放課後は虎ちゃんとクレープを食べに行ったけど、早く小説が読みたくて仕方なくて。


カラオケに行きたいという虎ちゃんの誘いを断って家に帰った。