6月上旬。
ジメジメとした蒸し暑い季節がやって来た。
学校祭の準備が着々と進む中、調理部でも出し物の話し合いが行われた。
出し物といっても、お菓子を売るだけなんだけど。
「じゃあ、私たちはマーブルクッキーとマドレーヌで決定ね」
みんなで意見を出し合い、結果無難な物に決まった。
各学年に分かれて2種類ずつお菓子を作るということになり、私と織田さんの担当はマーブルクッキーとマドレーヌ。
マーブルクッキーか。
どうやって作るんだろ。
隣にいる織田さんを盗み見る。
ぼんやりと黒板を見つめる織田さん。
その横顔は無表情で、何を考えているのかさっぱりわからない。
クールビューティーな織田さんからは、なんの感情も読み取れず。
私は1人モヤモヤしていた。