授業は苦痛でしかないけど、武富君と同じクラスになってからは学校に来るのが楽しくなった。


爽やかに見えて実は甘いものが好きなこと、ノートは毎回きっちり取っていること。


お昼休みは友達と教室でいつもお弁当を食べていること。


食後のデザートは、コンビニのどら焼きだったりドーナツだったり、売店のアイスだったりと毎日なにか食べている。


それに、推理小説が好きなこと。



この1ヶ月で得た情報がたくさんあるけど、まだまだ武富君の色んなことを知りたい。


武富君の世界を見てみたい。



ぼんやりしていると、頬に小さな何かが当たった。


ノートの上に落ちたのは、手で小さくちぎられた消しゴムの塊。


ふと横を見ると、同じような白い塊が今度は鼻に当たった。



「よっしゃ、ヒット!」



ヒットじゃねーし。


何してんのよ!


ガキか。


虎ちゃんの楽しそうな声とイタズラッ子のような笑顔に、思わずはぁとため息を吐いた。


消しゴムを投げて来るなんて、ホントに小学生みたい。