やってみると案外夢中になってしまい、楽しむことができた。
結果はーー。
「私の勝ちー!」
「ぐっ。やっぱ左手だけじゃキツかったか」
「あ〜喉渇いたー。約束通り、虎ちゃんの奢りね」
さっきの仕返しと言わんばかりに、クスッと笑って虎ちゃんを見る。
負けず嫌いな虎ちゃんは、当然悔しがるだろうとばかり思ってたけど。
なぜか、目を細めて優しく笑った。
「やっと笑ったな」
「え?」
「やっぱ咲彩は笑ってないと」
虎ちゃん……。
心配……させちゃったね。
私を元気付けるために、連れて来てくれたんだ。
いつも、いつだって。
虎ちゃんは私のことを考えてくれてる。
そんな事実に胸が温かくなった。
「ほら、ジュース買いに行くぞ。イスに座って休憩がてら話そうぜ」
自販機がたくさん並んでいるコーナーに行くと、虎ちゃんが小銭を入れた。
「ほら、好きなの選べよ」
「ありがとう」
遠慮なくミルクティーを選んだ私を見て、虎ちゃんが隣で静かに笑った。