ふと浮かんでくるのは武富君の寂しそうな顔。
付き合ってるのに片想いだったって言ってたけど、どんな気持ちで織田さんといたんだろう。
一緒にいても、ツラくて苦しくて。
幸せじゃ……なかった?
武富君の言い方だと、織田さんは速水君を好きって言ってるような感じだった。
中学の時、織田さんと速水君は付き合っていたのかな?
武富君は……そんな織田さんのことがずっと好きだったんだね。
恋愛小説の男の子に共感出来るって言ってたのは、このことだったの?
考えても答えなんて見つからない。
モヤモヤが大きくなっただけで、それ以上考えないようにした。
「で、私は何をしたらよろしいんですかね?」
目の前の虎ちゃんに、わざとらしく嫌味っぽい言い方をする。
虎ちゃんに負けて、未だに悔しさが拭えない。
でも負けたのは事実だし、バツゲームは受けなきゃ。
「まぁまぁ、とりあえず今は楽しもうぜ」
「えー?言ってくんなきゃスッキリしないんですけど」
「とにかくほら、次はアレな」
「え?まだやるの?」
「当然だろ」
はしゃぐ虎ちゃんに軽くため息を吐き出しつつ後を追う。
次に虎ちゃんが選んだのは、バスケットゴールにボールをひたすら入れるやつ。
「負けた方がジュースを奢るってことで」
「えっ!?明らかに私の方が不利じゃん!」
「仕方ないからハンデやるよ。俺は左手しか使わないようにするから」
なんてウインク付きでカッコつける虎ちゃん。
それでもまだ、私の方が不利な気がしてならないのは気のせいかな。
でもやる気満々なので、私は仕方なく受けて立つことにした。