図書室からはグラウンドが一望出来て、ちょうど真下でサッカー部が練習をしていた。
チラッと武富君を見ると、同じようにサッカー部の練習を無表情に見ている。
「武富君って、中学の時はサッカー部だったんだよね?」
「え……知ってたんだ?」
「あ……うん。叶ちゃんに卒アルを見せてもらって。高校に入ってからはしてないんだね」
「あー……」
ヤバ、言うべきじゃなかったかな。
なんだか触れてほしくなさげだ。
勝手に探られるのは、いい気がしなかった?
言ってから後悔した。
どうしよう。
なんだか一気に暗いムードになって来ちゃったよ。
「中学の卒業式ん時に事故に遭ってさ。体育のバスケとか軽い運動は大丈夫だけど、サッカーみたいに長距離走る運動が出来ないようになったんだ」
「え……?」
ーーズキン
予想外の言葉に鼓動が跳ねた。
事故……?
サッカーが……出来なくなった?
ウ、ウソ。
「バカだよなー。諦めはついたはずなのに、毎日練習してんの見て未練ありまくりだなんてさ」
そう言った武富君の横顔は、今にも泣き出してしまいそうなほどで。
私……なんてことを聞いてしまったんだろう。
バカバカ。
武富君にツラいことを思い出させちゃった。
胸が苦しくなって、ジワジワと涙が浮かんで来た。