一気に顔に熱がこもった。
私、今きっと真っ赤だ。
「俺は漫画しか読まねーしなー。咲彩も小説より漫画派だろ?」
私に背を向けていた虎ちゃんが、いきなり話しを振って来た。
突然言われてビクッとする。
「わ、私?」
な、なんでいきなり私に?
きっとこれは、虎ちゃんの気まぐれ。
こうやって会話に参加させられることは初めてじゃない。
でも、相手が武富君だから驚いた。
机に頬杖をつく虎ちゃんと、背筋をまっすぐ伸ばして座る武富君の視線が私に向けられる。
わ、目が……合っちゃった。
黒目が大きくて綺麗な武富君の瞳に、鼓動が大きく飛び跳ねる。
もしかしなくても……これってチャンスだよね?
きっかけはどうであれ、武富君と仲良くなれる絶好のチャンス。
「ま、漫画は好きだけど……!最近、小説も読んでみたいなーって思ってて!オススメがあったら教えて欲しいな」
緊張して手が震えたけど、とっさに浮かんだ言葉をうまく言えたと思う。