スタイルも良くて小顔で、どこをとっても完璧な叶ちゃんは蘭と1、2を争うほどのモテ女。


ほのかに漂う甘い香りとか、さり気なく付けたネックレスやピアスがオシャレ。


眉の上で切り揃えられたパッツン前髪がこんなに似合う人は、叶ちゃんくらいだよ。


私も叶ちゃんや蘭ぐらい可愛かったら、自信がついて武富君に告白のひとつやふたつも出来るんだろうけど。



類は友を呼ぶなんてウソ。


私は2人みたいに可愛くないし、自信もないから武富君を見ていることしか出来ないんだ。


最初はそれでもいいって思ってたけど、最近じゃ物足りなくなって来てる。


どうにかして武富君と話したい。


もっともっと、武富君のことを知りたいよ。


恋って不思議。


どんどん欲張りになるんだもん。


見ているだけで良かったはずなのにね。



武富君はいつも学校に来るとすぐに小説を読み始める。


ほら、今日も姿勢良く優雅に小説を読んでいる。


その姿にまでドキドキする私は、もはや病気なのかもしれない。


本には学校名が入った印鑑が押されているから、学校の図書室で借りた本なんだろう。


何を読んでいるかまではわからないけど、すごく気になる。


面白いのかな?


武富君が読んだ本だったら、私も読んでみたいかも。