虎ちゃんは中学の頃からモテまくっていたから、モテることが当たり前みたいに思ってる部分があって。
からかっても否定しない。
バスケ一筋だから誰とも付き合う気はないみたいだけど、モテない私からすると嫌みですか?って感じ。
まぁでも、モテるのを鼻にかけてないから許すとするか。
私との掛け合いも冗談みたいなもんだし。
虎ちゃんは見た目はチャラいくせに、スポーツバカだから中身は意外とマジメで。
私が知る限りでは、今までに誰とも付き合ったことがない。
それに筋が通らないことは嫌いなタイプで、意外と頑固な一面もあるんだなーこれが。
「咲彩、おはよう」
前の席に座る友達の青野 叶夢(あおの かなめ)ちゃんが、振り返ってニッコリ笑った。
フランス人形みたいに目が大きくて可愛い叶ちゃんは、このクラスで唯一私を癒してくれる存在。
「おはよう、叶ちゃん」
「朝から顔がニヤけてるけど?」
自慢のブロンドヘアをなびかせながら、叶ちゃんが淡々と言う。
「えー?そ、そうかなぁ?そんなことないよー」
「そう?咲彩はすぐ顔に出るからね」
気が強くてクールだけど、ホントは優しい叶ちゃん。