「彼氏いねぇーなら、好きな人は?」


急に、話しそらされた気すんだけど…。

「……」


どう答えていいか…分からなくなった。

あの時、

涙が出たのは…


認めたくなかった事を認めたから。

「いない」


口が勝手に…動いてた。


いない…って。


「えっ、好きな人もいねぇーの!?」

心也が椅子から、身を乗り出して目を見開いてる。

「うーん、なんか…よくわかんくって。

今誰が好きなのとか…」

「だよな…なんかごめん…
トラウマ…とかになったよな…」

え、心也が謝ってる…

なんか不思議な気分…

うん!! と言いたいところだが…

「そんなことないよ…」


ちゃんと、反省してるみたいなんで…

おい、上から目線だな…

「あのさ…

晴人じゃないって分かってるんだけど、晴人ぽい人がうちのクラスにいるんだよね…」


それもまさに、山崎君だ。

彼は、晴人の漢字も一緒で。

「山崎だろ?」

「あ、知ってんの?」

しゃべり方や顔も似てる。


「うん、よく女子がうわさしてる


そーいや、男子はお前の話しよくするぞ?」

「え?」


なんか、急に話変わったんだけど。


心也も変わってないな…

「なんて?」

「可愛いって」

突然の言葉に、びっくりする。


「どこが」

だけど、怒る私。


「え、あぁ…知らねぇ」



「今、流したでしょ!」


完璧流したよねっ!