「っ…しんやは…花那の事好きなんだ」

「はっ?」

今あった…今言った事を忘れたように、なかったことのように、何のことかみたいな顔をする。


「だ、だって今!花那にキスして!!」

「なんでだよ。証拠あんのか?」

実際その光景は見てないから、分からないけど…

「聞こえたもん!花那の言葉が途中で…っ」

そこで思う。

なんで今、こんなに必死なんだろう。

「正直に言って」

「わりー、浮気した」

わりーって。

それしか思ってないの…?

「そっか…」

俯いていた顔を上げ、

「別れよっか」

勇気を振り絞ってそんな事を言ってみる。

「なに、急に変な事言うんだよ。

俺が、お前とただで別れるに決まってるか?」


あぁ、そういう事か。

私が…浮気相手ってことね。

「ははっ、なに?

そんな事言えば、誰でも俺に来るなんて思ってるの?

さっき言った事、もう一回言ってみなさいよ。

あんたの口から、

私とは、ただのクラスメイトって言ったんだよ?それで、なにただで別れないとか言ってんの?」

とうとうむかついて、思ってる事言ってやった。

だけど、あいつの表情は変わらない。

逆に、壁に押し付けられる。

「お前、さっきから意味わかんねぇこと、言ってんじゃねぇーよ」

「意味わかんねぇことしてんの、しんやだよ」

わたし、こんな事いう人だったけ?

「私のこと、好きなの?」

直球に聞くと、一瞬私の腕を掴んでる腕が緩んだ。

そっ…か。

「結構、好きだったのにな。」

「俺は今でも、好きだぞ?」