キミと青春したいのなら

愛莉side

「いってきまーす」

4月…。

私は…高校生になります。


篠宮高等学校に受けたのは

この私、1人…なはず…。

理由?

理由なんか…。

ただ、レベルがそのくらいだったから?

そこは、レベルは高いほうだと思う。

家から近いし…。

「お姉ちゃん、もう行くの?」

妹の

七瀬明花(ななせあいか)

あ、名前言ってませんでしたよね…

私はそこら辺にいる、ごく平凡女子。

七瀬愛莉(ななせあいり) です!

彼氏いない歴、3ヶ月。

そうです。

卒業だと言うのに、彼氏と別れてしまいました。

未練はないけれど、思い出すと…少し辛いです。

「ねぇーちゃん?」

今度は、弟の

七瀬晃翔(ななせあきと)

が心配そうに私の顔を覗いた。

「このっ。可愛い顔してないで、もっとかっこよくなりなさい!」

私の弟は、可愛い。

うん。一言で言えば、

“可愛い”

兄もいるよ?

七瀬逢翔(ななせあいと)

なんか、みーんな

“あ”から始まるんだよね…。

逢翔
愛莉
晃翔
明花

みんな似た漢字だし。

でもまぁ、仲いいし

文句ナシの兄妹弟なんだけれども…。

明花は、あてじだけどね…

兄がね。

「愛莉、高校がんばれよ」

誰でも惚れちゃうくらいの、イケメン。

私でも思うくらいです。

「行かねーと。遅刻すっぞ」

「あ、そーだった!」





そう言って、慌ただしく玄関を出る。

遅刻するわけでもないけど走る。

よくあるシチュエーション。

あの角を…。

なんて考えて、走ってると

ドンッ

本当に起こってしまった。

私の…妄想が。

現実にっ!

「ご、ごごめんなさい!!」

妄想してたのはいいものの、実際起こるとどうしたらいいかとか、全くわからない。

「いえ。こちらこそ。
怪我、ありませんか?」

その男の子は、真面目系の爽やかメガネ男子。

私が思うに、メガネ外せば…

だめだめ!

「はいっ!ないです」

そう言って、伸ばされた手を掴む。

「あれ…

篠宮高等学校ですか?」

彼と私の制服は似ているような作りだった

たぶん、一緒の高校かな


「篠宮高等学校ですよ?

制服…同じですね」

なんか…敬語のやり取りって…なんかおかしい。

「どうせなら、一緒に登校しません?」

そう彼が言って来た。

「えっ
あっの…。はっ!はい!是非!」

妄想をふくらませていた私は、何の返事を返せばいいのか分からなかったはずなのに、勝手に口が動いていた。

まぁ、勝手に口が動いていた。なんて絶対ありえないけど。

「僕は、山崎晴人
好きに呼んでください。

あっ…“さん”付はやめてください。」

「は、はい。

えと、私の名前は…」

「七瀬愛莉さんですよね?」

私が言う前に、山崎君がそういった。

なぜわかる?

「名札に…」

「あー」

小学生の頃いつも忘れていたから、くせがついてたんだよね。

恥ずかしいな。

「夜は外した方が身の安全かと」

そうおすすめしてくれたけど

私はそんなの、気にしていなかった。


「タメ語で話しません?」

そう言いながらわたしも敬語だった。

「いいんですか?じゃ、タメ語で」

結構あっさり決まるもんだな。

優柔不断の私には丁度いい性格の人かも。

「じゃあ、改めてよろしくね!山崎君!」

そう挨拶して、手を差し伸べた。

「よろしく。七瀬さん」

山崎君も笑いながら、私の手を握っくれた。


ーそれが

キミと私の出会い。

たった4秒前の

奇跡。

愛莉side

「愛莉!愛莉!」

「なに?茉香」

入学式。

私にはもう、友達という人が出来ていた。

後藤茉香-Mako gotou-

顔よし
性格よし
体型よし
成績よし

うん。全部よし。

とにかく…私が言いたいのは、何もかもがカワイイの!

「あーいーりー?聞いてんの!?」

「ごめんごめん」

ごめんね茉香。

ってしているうに、

さっきの男の子とすれ違う。

「あ…」

「七瀬さん」

思いっきり、ガン見してたから…

さすがに気づくか。

「あ、友達行っちゃいますよ…じゃーなくて!」

「ん?」

敬語にしちゃった。

「友達いっちゃうよ」

「あぁー。いーのいーのそのうち戻ってくる」

そういうもんなのかな…。

「それより、七瀬さんこそいいの?」

「え?」

なにが…?

はっ。

もしや!

「茉香!」

「うん。また今度話そ」

山崎君は優しいなぁー。

こんな人相当いないでしょ…。

「ありがとう!山崎君!」


そうお礼をして、茉香のところに行った。

渡り廊下で男子に話しかけられてる茉香を見つける。

「茉香!」

「愛莉!?」

これはまさに…ナンパというものか?

「あっれぇー?君も可愛いね!」

「はい?てか、あの避けてください
入学式遅れるので。」

「顔いいし性格も君最高だね」

「ふざけんな。邪魔って言ってんだよ」

ナンパとの会話をしてる時に。

私が言いかけた時、

すごい言葉遣いが悪い、声が聞こえた。

声が聞こえた方を見ると

そこには、少し怒り気味の山崎君がいた。

「は?メガネのくせに」

えっ。メガネ関係なくない?!

「あっはははっ!メガネ関係ねぇーだろー!」

と笑いながら、山崎君の友達だと思われる男子が出てきた。

もはや私にはもう、今の状態を読み取ることが出来ない。

えっーと…??

「まぁいい。
行くぞ愛莉。」

「えっえっ?ちょ、山崎君…」

読み取れない事が起きたというのに…それをますます分からないことにするのは、山崎君のせいだ。

今さっき…

“愛莉”って。


「あのっ。山崎君!」

「なに」

なんか態度変わってない?!

これが表とか!

でもそれはそれで…。

って何言ってんだわたし!

「えっーと。なんもないです」

負けた。

山崎君の目つきが怖い!

「さっきは…ありがと…う」

「うん、遅れてごめんね」

あれ?戻ってる?

っていうか!

「な、なんで山崎君が謝るの!?」

「遅れたなって」

「全然!助けてもらったし!」

「でも、無事でよかったよ」

ドキンッ

そんな…笑顔で言われたら

期待しちゃいますよ?

でも、私に限って…それはないかな…。

彼女…いそうだし。




「あっ!入学式始まっちゃう!行こ!」

「あぁ」

やばい…。

ドキドキ止まらない。

どうしてだろう?

✿❀✿❀✿❀✿❀✿❀✿❀✿❀✿❀✿❀✿❀


「はぁっー」

「なになにー?なんかあったの?」

なんか?


なんか…

なんか…

ありませんよ。

そのなんかなんて

「ため息、7回目」

ドキッ

「えっ」

とそこに、山崎君と綾瀬君。

あ、綾瀬君って言うのは、山崎君のお友達の…

綾瀬 航希-kouki ayase-

まぁ、簡単に言っちゃえば茉香の好きな人。

私たち4人は、入学式の頃から仲良くなった。

それからというもの、一緒に行動するようになった。

もちろん、茉香が綾瀬君好きなのも、山崎は知っている。

山崎君と綾瀬君は幼なじみらしいんだけど、未だに綾瀬君の好きな人は知らないらしい。

っていうか、知らないって言ってた。

というのは嘘で。

茉香の前ではそう言っているけど、

私にはちゃんと教えてくれた。





「はぁ。私…屋上行ってくるね」

「私も行こっか?」

茉香はほんとーに、心配性だなー

「大丈夫!」

今は、一人でいたい気分だから。


そう言ってるけど、本当は誰かについてきて欲しかったり。

ひとりになりたい時は、ひとりになりたくない時なんだよね。

私って…面倒くさいな。



ギィッー

昼休みの屋上は…静かなはずがないのに。

今日は誰もいないな。

まぁ…さっきまで雨降ってたしね。

「あ、虹だ…」

くっきりしてる。

綺麗だなぁ。

ブーッブーッ

「わっ」

びっくりした。

電話か…。


「もしもし?七瀬です」

『あ、ねぇちゃん!今すぐ中学校に来て欲しいんだけど』

「は?何したの晃翔らしくないぞー?」

『いーから!とりあえずはよぉ!』

プーップーッ

えっー。



まだ学校終わってないんだけれども。


まっ!いっか!

そんなこんなのノリで、中学校に行く事に。



愛莉side

「……」

「ごめんなさい…」

いや…怒ってないんだけど…。

危なかった。

「あのね明花。

ああいう人は、すぐ手を出してくるの」

「うん…」

そう明花は…

教室から飛び出し、大好きなお兄ちゃんのところへ行った…らしい。

だけど途中で迷って

不良たちに捕まってしまい

連れ去られて

制服を半分脱がされた状態で見つかったらしい。

「こわかったよぉ…」

「だいたい、教室から出るのが悪いんだろ!」

晃翔も怒ってばっかりいないでさ…。

まぁ、わかるよ