「っ…」

恐る恐る目を開ける。

目の前には、耳まで真っ赤な宮崎君が立っていた。

熱でも出たのかな…

えっ!熱!?

「山崎君!」

「はいっ」

私が急に呼んだから、びっくりしたのか声が裏返った山崎君。

「熱あるの!?」

そう言いながら、山崎君の額を触る。

「ちょっ、七瀬!」

「辛かったなら辛いって…言ってくれればいいのに。」

「えっ、まっ」

「ごめんね…気づいてあげられなくて」

「あ、あの…」

私の耳にはもう、山崎君の声など聞こえていない。

妄想の世界に入ってしまえば、もうそこで終わり。

「七瀬、落ち着け」

そう言われて、また抱きしめられてしまった。

「山崎君?」

「熱ねぇーから、心配しなくていい。

それと…今日、泊まらせてください」

「えっ熱なかったの…というより…」

えーっと…

泊まらせてください…?

山崎君が私の家に泊まる…。

悪くない!

「うん!いいに決まってる!

家近いなら、一緒に取りに行こ!」

その気になれば、やる気は出る!

「えっ。取りに行くのは俺1人でいいよ。待ってて」

そう言われたので…。

今家で待っています。