「さむっ!」
春なのに!
なぜこんなに寒いんだー!
ピューピュー風が…。
冷たい!
「あぁさむー。はやくかえ…へっくしょい!」
くしゃみ出てしまった…
「はぁ…」
なんか…今日ため息ばっかりだな…
今日…長かったな。
1日。早い日と遅い日。
遅い日は…嫌なことばっかり 。
早い日は…楽しいことばっかり。
逆だったら、いいのになぁ。
なんて思ってると。
ドンッ
「あっ…ごめんなさい…」
「あぁ? …」
ヤバっ。
不良だ。
しかも…1人じゃない…。
5人くらいは…。
しかも…さっき明花襲った人達だ…。
私が…追い払ったから…。
私の顔見たら…怒るよね…。
あぁーどーしよ。
だれかぁー!
たすけてー!
なーんて。心の中で思ったって意味ないのに。
「あっ。お前、中学にいた女と似てんなぁ」
やばい。
バレそうっ!
そして…次の瞬間。
「まぁいい。存分に楽しませてもらうぞ」
「えっ…」
最悪…だ…。
「大丈夫だ。お前も楽しいだろうから」
「そ、そういう問題じゃ…」
あぁー。
『なんか文句あっかよ?』
とか…。
怖いこと…
いわれそう…。
「文句言うなら、今日は返さないからな」
ほーらね。
言ったよ…。
「はい…すみません…」
でもやっぱり…このまま連れてかれるのは、死んでもゴメンだ。
「行くぞ」
「や…」
そう言われて、震えてる手を取られる。
だけど私は、その手を解くように逆に振り下ろした。
怒られても…怖くないもん。
「なんだよ?今さっき、すんなり行こうとしただろ?
歩けよ。さっさと」
「嫌だ。離して」
「歩けって言ってんだろ!このバカ!」
怒鳴りつけられる。
「だったら私もいうわよ。
離せって言ってるでしょ!この変態!」
私も怒鳴りつけてどうすんだよ。
バカみたい…。
わたし。
そしてまた捕まられる。
もうダメだ。
「やめてよ!離して!誰があんたみたいなヤツとヤリたいって思うのよ!
死んでも不良達にはされたくないわよ!」
「お前!」
「傷ついたなら、離して!」
「お前ら!こいつを固定しろ!」
でた!不良の必殺技!
「やめてって言ってるでしょ!」
「お前の意見なんか聞いてないんだよ!」
「私だってあんたらの、意見に従いたくないわよ!」
なんかもう、ここまで来るとどうでもよくなってくる。
ほんっと
やめてほしい。
助けて…。
誰か……。
……山崎君…助けて。
「きゃーっーー!」
そして最後に悲鳴を上げた。
これでなんとか…。
「愛莉!!?」
「!?」
うそっ?!
なんでっ…
晴人side
学校の帰り道。
俺はある女の子の事を思い浮かべていた。
いつも笑顔で。
男女構わず仲良くて。
友達想いで。
か…可愛くて。
俺の…初恋の人だ。
しかも…
一目惚れ。
1番、俺が望んでなかった恋のしかた
こういう事もあるか。
入学式の朝。
寝坊した俺は、全力ダッシュで走っていた。
ある道の角。
その角から、女の子が出てきた。
止められることもなく、ぶつかった。
人がいる事を確認して
メガネをつける。
これが
俺の一つの秘密だ。
「ご、ごご、ごめんなさい」
かなり警戒?してるのかな
なんか…ねこみたい。
「いえ。こちらこそ。
怪我、ありませんか?」
敬語って…久しぶりだな。
なんか違和感が…。
「はいっ!ないです」
ドキンッ
はっ…?
何今の…
気づいたら、俺の隣に並んで歩いている、女の子。
名前は…
名札が貼ってある。
“七瀬愛莉”
ななせ…あいり…。
それからというもの。
俺らは、すんなり仲良くなった。
七瀬さんの友達の、後藤茉香ちゃんと
俺の友達の、綾瀬 航希も一緒だけどな。
航希は、たぶん七瀬さんが好きだってすぐ分かった。
七瀬さんには、茉香ちゃんが好きって言ってたけど、その時の顔が。
嘘をついている顔だった。
その時
正直、応援は出来なかった。
この感情はなんだろうって
ずっと思ってたら
いつの間にか、七瀬さんは消えていた。
今日は俺が日直だったから、遅くまで残り書類整理など、面倒くさい仕事を無理やりやらされた。
もう1人は、今日は休み。
担任は手伝うとか言いながら、途中早退した七瀬さんに電話するって言ったきり、帰ってこないから、職員室いったっけ…。
『もう帰りましたよ?』
などと言われた。
仕方なく、暗くなるまでに終わらせようと思ったけど…。
「暗くなっちまった」
今日は…いい日じゃなかったな。
今日も…家に帰ったら1人か…。
ったく。
ばばぁはいつ帰ってくんだか。
料理すんのも疲れたわ。
ご飯考えるのも面倒くさいし。
お金はかかるしー。
あーもう。
料理がうまい彼女欲しい。
なんてうまい話。
そんな感じの事を思うと…
いつも七瀬さんの顔が浮かんでくる。
なんでだ?
そしたら…。
聞き覚えがある声が聞こえた。
「やめて!」
夜に必死で否定してるってことは…
誰か危ないな。
でも、わざわざ知らない人の事助けて顔見られたら困るし。
余計に女いたら、もっと困るし。
まぁ、行ってみるだけいいか。
そう思いながら、近づくにつれて。
なぜか、胸の心拍数が高まっていった。
嫌な予感がする。
「きゃーっーー!」
えっ
「愛莉!?」
七瀬さんだ!
「山崎くん!!」
七瀬さんなら…バレてもいいって
思ったのは…なんでだろう。
だめだ!
今はそんなこと思ってる暇はない!
君の声が
聞こえたから
俺は
君を助けに行けるよ。
待ってて
勝ってみせる。
愛莉side
「愛莉!!」
そう叫んで、こっちに来てくれたのは…
「山崎君!!!」
山崎くんだった。
「おまえらな、ふざけんなよ。
女が離せって言ってんだから離せよ
だから、彼女出来てもすぐ別れんだよ
ヤリたいしか思ってねぇーんだろ?
自業自得だよな
バカしか言えねぇーよ」
「はぁっ?」
怖い怖い怖い怖い。
山崎君が…嘘みたいに怖い。
これは…殴り合いになるかもしれない。
その時私は…
山崎君を見ていて周りを見ていなかった。
当然 、冷静に考えればわかるよ。
他の人が私を引っ張れば、何の問題もない。