シャァァァァァァァッ!

「大丈夫かァァァァ!」

ん?あれ、この声、保健の先生?

「ど、どうした早美!何があった!」

ハヤミ、は私の名字だ。で、ここは保健室のベットだよね。私、ここで寝てたのか!

「すみません、うなされてました。」

「よ、良かったァ、早美ー、驚かせないでくれよぉぉ…なんか入ったのかと。」

本気で生徒を心配してる、と評判の富(トミ)先生は、武器にするつもりだったのか振り上げたノートパソコンをおろしてそう言った。三十代ぐらいの人だけど、ノリが良いのと無駄に伸ばす語尾も多分人気の秘訣だと思う。



そういえば。

「わたし、いつからここにいました?」

それを聞いた富先生は驚いたような顔をして、少し間をとってから言った。

「3時限目の途中に眠いって言って来て、そのまますぐ寝てたぞー?」

それを聞いてゾクッとした。

アレが、現実の可能性がある。

「そうですか…。でも、きっと夢だよね。」
ぼそっと、後半を呟いた。
「んん?どうかしたかぁ?」

「なんでもないです!」
富先生は、心配そうな顔をしていた。

「きっと、疲れてるんだなあ。ストレスがたまると、眠くなったり、ひどいときは記憶が飛ぶこともある。今日は帰って、明日も休んで、ゆっくりしなさい。」

いつものように語尾も伸ばさず、落ち着いた口調で言われた。お母さんに心配はかけたくなかったけど。

「はい。」

素直にしたがった。