父が出てからしばらくして朝御飯を食べ終わった私は、制服に着替え歯を磨いて顔を洗って、といつもの支度をこなした。

「行ってきまーす」

母はニコニコして玄関まで来てくれた。

「行ってらっしゃい。」

いつもの口調で言う。
うん、と頷いて学校へと出発する。

うちは父、母、私の三人家族。生活に困るだとか、大企業社長令嬢だとかということもなければ、家庭が崩壊ぎみという訳でもないいたって普通の家族だ。

公立の小学校、中学校に行き、高校生もまぁまぁなところを受験して、合格して…というような波瀾万丈のはのじもない人生を送っている。

特別楽しくも、苦しくもなかった。そうやって生きている。







そう、楽しい訳でも、苦しい訳でもないのに、生きている。
人間だから。