「…そんな言い方しなくたっていいじゃん…。」
水野の背中を見ながら、小さく呟く紺野。
すると、くるっと水野が反転して紺野を見つめる。
「…え?何?」
その行動の意図が分からず、問いかける紺野。
「…オレと紺野は、確かにダチじゃねぇのかもしんねぇけどさ…でも、今からダチになればいいんじゃねぇの?そしたらさ…さっきの理由も話してくれるか?」
真剣な顔つきで、紺野を見つめながら言う水野。
「……どう、して…?…どうしてそこまで…。」
水野の言葉は、紺野の心に深く響く。
何故こんなにも、自分のことを気にかけてくれるのか。
今まで数える程しか話したことのない自分のことを、どうしてそこまでして気にかけてくれるのか。
「…紺野ってさ、何か壁を感じるっつーか…。人に対してバリケードみたいなの張ってる気がしててさ…気になってたんだよ。
けど…、オレって社交性ゼロの人間だからさ…何か話しかけらんなくて…。
今がちゃんと話せるいいチャンスかと思って…って感じなんだけど…。」
そう言って、少し照れ臭そうに右手で頭を掻く水野。
「…はっ、ははっ!あははっ!」
そんな水野を見て、突然お腹を抱えて笑い出す紺野。
とても楽しそうに、そしてとても嬉しそうに。