そして、その光景を黙って見ていたクラスメイト達は、一気に騒ぎ出す。



"何今のーっ!?"


"喧嘩勃発?"





そんな騒ぎの中、水野と昴が一緒に歩いていたのを見つめていた少女が、机に肘を付き、顎を掌に載せて3人が出ていった方を見ながら、ボソッと呟く。





「…紺野昴、マジでウザイんだけど…。」


その瞳は、嫉妬に燃える女の目だった。









―――――
―――



水野は昴の腕を引きながら、屋上へと向かう。



そんな2人の後を、元気がゆっくりと着いていく。



その間、誰も口を開くことはなかった。











屋上の扉を大きく開け放ち、足早に歩き出す水野。



水野に腕を掴まれている昴は、流されるままにその後を追う。





そして、元気が扉へと辿り着いたと同時に、水野は昴の方へと向き直り真っ直ぐ昴の目を見る。





「紺野は、オレと友達になるのは嫌か?」
そう言う水野の瞳は、真剣そのものだった。




昴は、そんな水野の瞳を見て、少しだけ泣きそうな表情をしてこう言った。





「…嫌、じゃない…。

けど、僕が水野と居ると皆不思議そうな目で見てくる…。

"何でお前が水野と一緒にいるんだ?"って、そう言われてるみたいで…。」
昴は鬱向き、制服のズボンをぎゅっと握り締める。





「…何だよ…そんな小っせぇ事気にしてあぁ言った訳?オレ結構傷ついたんだけど。」


そう言って笑う水野は、眩しく見えた。