「あのな、クラスメイトなんだから仲良くない方がおかしくねぇか?」
"意外"という言葉に、水野はさっきよりも怒りを含みながら元気を睨む。




「…だよ、な。」
普段の水野からは考えられない程に真剣な表情で言う彼に驚き、それ以上は何も言えなくなる元気。





そして、いつの間にかクラス全員が水野と元気、昴に視線を浴びせる。





そんな水野と元気を黙って見ていた昴が、重い口を開く。




「…あの、水野とは昨日偶々屋上で会って、少し話しただけだから…。

今朝も偶然会ったから一緒に来ただけで、

山口が僕と水野が仲良くするのが嫌なのは充分分かったから…ごめん…水野、山口。」




昴は悲しい表情を浮かべたまま、慌てて弁解する。





そして、ゆっくりと自分の席へと歩いていく。







だが、そんな昴の腕を水野はぎゅっと掴む。




昴はあまりにも強い力で掴まれたので、小さく"痛っ"と呟く。






「…話がある。来いよ。」



昴を真っ直ぐ見つめる水野の瞳は、怒りと悲しみが入り混じっていた。




そして、昴の腕を引きながら足早に教室を出ていこうとする。








その足が教室のドアまで来たところでピタッと止まり、



「モトも来い。」


と少し低めの声で言うと、再び歩き出す水野。



元気は名前を呼ばれた事に驚いた後、気まずそうな顔をして水野の後を追う。