幽霊船に潜入したスリサズの目の前では、王室の権威を示すにふさわしい絢爛なパーティーが繰り広げられていた。
 ザワージュ号が沈没した時、船内は海辺の国の王子と群島の国の王女の結婚式の真っ最中だったのだ。

 来賓はいずれも貴族らしき豪勢な衣装を身にまとっている。
 式を司る神官らしき人の姿も見える。

 ただ困ったことにそこに居る人々は全てガイコツに成り果てていた。

 寄り添ってダンスをしているガイコツ。
 沈没前には酒が入っていたはずのグラスを掲げ交わすガイコツ。

 いずれのガイコツ達も笑っているが、その眼孔からはまるで海と繋がっているかのように涙が無限にあふれ、その涙が床を流れて船体の穴から外の砂漠へ流れ出ていた。


 
 スリサズはペンダントに導かれ、対になるティアラを頭に頂く王女の姿を探した。

 群島の王女のガイコツはすぐに見つかった。

 もともとは真っ白だったはずのドレスは時の流れでデロデロになり、式の主役のはずなのに広間の隅っこでポツンとしていた。

 うつむく姿は骨になっていても清楚で、ティアラの金の台座は良いとしても、宝石の色に赤、青、緑と三色も使う派手さは、本当に彼女の趣味か疑問に思えた。