「…そういえば」
「ん?どうした?」
「翔くんって理数科の先輩とお付き合いしてたんじゃないの?」
翔くんに抱きしめてもらって数分。
やっと涙もおさまって、すこし冷静になれた私は気になったことがあったのを思い出した。
それはこの前、中庭で女の子たちが話してたこと。
「理数科の先輩…?……あ、あれか」
翔くんとまた付き合うことができたけど、ちゃんと聞かないとモヤモヤしたままだもんね。
「…私、その話聞きたい」
「しっかり話すよ…。あのとき、サッカー対決で“わざと”負けた理由もね」
私の目をまっすぐに見つめて翔くんが話し始めたのは
「昼休みのこと…?」
「うん」
サッカー対決のすこし前くらいからあった、翔くんの不可解な昼休みの行動についてだった。