思わず反応しちゃって、久しぶりに交わった視線。
なんだか気まずいけど、少しでもいいから話したくて
「…忘れもの?」
「…うん」
ポツリと口から言葉がでる。
それに、翔くんも答えてくれた…。
会話といえるものでもないけど、私にとってはじゅうぶん嬉しい。
だってあの日からずっと避けられていたんだもん。
「あの、翔…」
「…佐々木さん、その呼び方で呼ぶのやめてくれる?」
でも、嬉しくなってたのは私だけ。
翔くん、と呼ぼうとすると、今までに見たことがないくらい冷たい目を向けられた。
そう…だよね。
翔くんと私はもう恋人同士ではないし、翔くんは私のことを好きでもないから馴れ馴れしく名前で呼ばれたら嫌だよね。