じわっと目に涙が浮かんだけど、なずちゃんの優しい言葉で元気が出た。
そうだよ、翔くんが負けるはずないもん。
ぎゅっと手を握りしめて、さっきの和くんのように軽めの運動をしている翔くんを見つめる。
きっと翔くんなら決めると信じて。
息を吐いた翔くんは1度目を閉じ、開いてから思いっきりボールを蹴った。
───カーン
でも、そのボールはゴールに入ることなく。
ゴールポストに当たって翔くんのほうへ跳ね返る。
「え…?」
絶対に決めると思っていたのに。
絶対に勝つんだって思ってたのに。
「…芳川、が外したから、真田の勝ち」
翔くんは…和くんに負けた───。