「佐々木さん、呼ばれてるよ」
「え、私?」
本格的に寒くなってきた12月のある日の放課後。
掃除当番で教室にいた私を呼び出したのは
「あ、和くん」
眼鏡をかけ、前髪で顔を隠しているけどどこからどう見ても和くん。
「ちょっと来て」
まあ一瞬見ただけじゃ和くんだってわかんないけどね。
変装をしてまでここに来たということは、なにかあるんだろうと思って黙ってついていくことに。
しばらく歩いてついた場所は
「屋上…?」
入学して2年経つけど、初めてきた屋上。
すこし重そうなドアをゆっくり開けた和くんは
「はあ、美玲呼び出すためにわざわざ変装しないといけないなんてめんどすぎる」
ドアが閉まったのを確認してから眼鏡を外し、前髪をいつものようになおした。