でもあんまり視力は良くないほうだから全然見えなくて、目を凝らしてじーっと人だかりのほうをみてみる。
「あれ?」
「ん?どうしたの?」
「いやなんか、あの男の子と目が合ったような気がする…」
たぶん、気のせいかもしれないけど。
なぜかドキドキと胸が音をたてて、無意識に目をぎゅっとつぶってると
「…え……美玲?」
頭の上から聞こえてきたのはまったく知らない低い声、でもその声で紡がれる私の名前になぜか懐かしさを覚える。
そんな声に反応して恐る恐る目を開けてその人をみると
「やっぱり…美玲じゃん」
「…か、ず…くん」
ふっ、と笑顔が零れたように笑う和くん。
「…久しぶりだな」
「うん…」
声が低くなっても、あのころと同じように透きとおってる。