サッカーが上手なところも
優しいところも
ヤキモチ妬いて拗ねちゃうところも
全部だいすきで。
昨日よりも今日、今日よりも明日、すきが積もっていく。
「ん…俺もだいすきだよ」
私と同じ気持ちを返してくれたあと、さらにぎゅっと抱きしめてくれる翔くん。
「ふふっ」
「どうしたの、玲」
「幸せだなあって」
ポツリと独り言のようにつぶやくと
「あーもう。玲、かわいすぎるんだけど」
くしゃくしゃと乱暴に頭を撫でられる。
「もうーなにするの?」
「ごめんっ…じゃあまた明日ね」
翔くんのせいで乱れた髪をパパッとなおして
「バイバイっ」
にっこり笑顔で手を振る。
それは、今日、翔くんの目に映る最後の私の顔が笑顔であってほしいから。
そんな思いをこめて翔くんの姿が見えなくなるまで見送ってから家のなかに入った、ある日の夕方。