どうして怒ったのかわからないまま時間は過ぎていって
「…着いたよ」
「あ…ほんとだ。ありがとう」
私の家の前で翔くんは自転車をとめた。
「なあ…」
「なあに?」
「…俺といるときは俺以外の男のこと、考えないで?」
いつもの笑顔なんてなくて。
真っ直ぐに私を見つめて言うその表情はすこし拗ねているかのようにもみえる。
ねえ、翔くん。
その表情をするってことは…
「ヤキモチ…妬いてるの?」
恐る恐る翔くんにきくと
「…そうだよ」
すこし気恥ずかしそうにつぶやく翔くん。
「俺に抱きついてるくせに、俺の背中にくっついてるくせに、ほかの男の話なんかされたら妬いちゃいますよ」