家に帰っても、寝る直前も、凌くんのことが頭から離れなかった。
いままで、『この人かっこいいな』とかたくさん思ったことあったけど、そのどれにも当てはまらないこの気持ち。
「やっぱり恋なんだ...」
ぽつりと呟くと、
「えっ!?お姉ちゃん恋してるの!?誰!?もう付き合ってる!?」
と、すごい食い付いてくる妹の真弥。
「真弥ぁ...勝手に人の部屋に入ってこないでくれない?あと、盗み聞きも禁止」
「だってだって~、お姉ちゃんの部屋の前通ったら偶然聞こえちゃったんだもん!ドア全開だし!」
え...そんなに大声で言ってたっけ?
なんか恥ずかしくなってくる。
「それでそれで?恋してるの??」
「はいはい、部屋に帰ろうね」
適当に妹を追い払い、ドアを閉める。
パタンッという音とともに訪れる静寂。
さっきまではドアが開いていたから、リビングから笑い声やテレビの音が聞こえていたけど、もう聞こえない。

ふぅ、と一息ついて、スマホが点滅してるのに気づく。
スマホを手に取り、ベッドに寝転がって、それを確認する。
結愛からメッセージが来ていた。
送信時間は、6時35分。
今は9時12分だ。
やばい、返信しなきゃ、とメッセージを開く。

『めいー、凌にめいの電話番号とアドレス教えてって言われちゃった。教えていい?』

結愛にしては短いメッセージだった。

『いいよー。あと返信遅れてごめん』

そう送ったあと、結愛からのメッセージをもう一度見る。
結愛...凌くんと仲良いのかな?
呼び捨てしてるし...連絡先知ってるみたいだし。

...いやいや、ヤキモチとか妬かないから。
結愛は今頃私の連絡先を凌くんに教えてくれているはず。
昼は誤魔化したけど、結愛は私が凌くんのことが好きなことわかってるはず。
応援しようと...してくれてるんだよね?
きっとそうだよ、親友を疑うとかありえないし!

...でも、結愛がもし凌くんのこと好きだったら。
あたしに勝ち目ないな...
だって結愛は、凄くかわいいし、私なんかと仲良くしてくれて、性格もいい。
私なんかが敵う相手じゃないや...

そう考えているうちに、私は眠りについていた。