黒板に貼ってある紙から、自分の名前を探す。
...すぐに見つかった。
真ん中の列の一番前...
結愛は、廊下側の一番後ろだ...
最悪な離れ方だなぁ...

せめて、隣の席は仲が良い人がいいな、と思いながら、両サイドを確認。
右隣は、去年も同じクラスだった秋山陽太くん。
去年は学級委員だった、いわゆる優等生だけど、意外と話しやすいんだよね。
左隣は『上潟口凌』...なんて読むんだろう?

「かみ...がた...くち?」
紙に手をあて、そう呟くと、耳元で
「惜しい。かみがたぐち、な。」
と、低い声。
慌てて振り返ると...

「あ...」

思わず口がぽかーんとあいてしまう。
だって、そこには、さっきのイケメンが立っていたのだから。
動揺する私に、
「君が菅野めいちゃん?隣の席の上潟口凌です、よろしくね」
と、笑顔で微笑む。
トクン、と胸が鳴るのがわかった。
「あ...よろしく、上潟口くん」
あわてて返事をすると、
「凌でいいよ。俺、名字呼び好きじゃないから」
と、また笑った。
うん、と小さくうなずいて、自分の席へ向かう。
すると結愛が近づいてきた。

「めいー。恋しちゃったんじゃない?」
と小声でいきなり言ってくる。
「え...なんで?」
とぼけてみる。
けど、自分が一番わかってる。

私...凌くんに恋、しちゃったんだ。