香取愛美side


紬さん遅いなあ。


先ほど蓮くんが持ってきてくれたミルクティーを飲みながら、そう思う。


紬さんのカプチーノ、冷めちゃうよ……。


本気で心配になっていた時だった。



「すみません、待たせてしまいました」



紬さんが戻ってきた。


紬さんを見て、さっきの蓮くんの言葉を思い出す。


『─紬は、今も昔も一途だから』


あれは、どういうこと?


好きな人がいるの?本当に?


ううん。そんなこと、関係ないよね。

私は紬さんのことが好き。だから、それはそのままでいいんだよ。


私はそう自己簡潔して、紬さんの方を見た。


紬さんは、カプチーノを一口啜った。


そんな時に、ふと、袖口が赤く汚れているのが見えた。


「紬さん!?どうしたんですか?それ!!怪我してるんですか!?」



だったら、手当てしないと!と思い、紬さんに詰め寄る。

すると紬さんは苦笑して、袖口を隠した。



「ちょっとさっき、いざこざがありまして。怪我したのは俺じゃなくて、瑠璃ですから」


「なら、よかったです」



私の言葉に、ピクリ、と眉を動かした紬さんだったけど、すぐに笑顔に戻った。

どうしたんだろう?


そう聞こうとする前に、紬さんは話し出した。



「作戦会議をしましょうか。内容なども含めてお話願います」


「はい」



私は頷くしかなかった。