「…だ、じょ、ぶ……」


「大丈夫じゃねぇ!!本当に鬼畜だな紬!!」


「……じゃあ、痛い思いするのと、俺とお揃いのピアスつけるのどっちがいい?」



その問いは卑怯だろ。

瑠璃のことだから、選ぶのは予想がつく。



「……いた、いの」


「ドMだなぁ、瑠璃は。ま、そこも可愛いけどな」


「お前が鬼畜でドSなだけだ」



つい、つっこんでしまったのは仕方ないと思う。

紬は瑠璃を膝の上にのせたまま、自分の方に向かせる。

自分の首筋を瑠璃に噛ませると、瑠璃の左耳にピアッサーを挟んだ。


―バチンッ



……いや…



「やるぞぐらいは言えよ!!」


「……やったぞ」


「おせぇよ!!」


ぜぇぜぇいいながらも俺がツッコミを入れるが、本人はしれっとしている。

えぐえぐと音が聞こえるので、瑠璃を見ると、泣いていた。

号泣だ。


「…えぐ…ぐすっ……」


「よく頑張ったな」


紬はボタボタと垂れる血を服の袖で拭きながら、自分の耳についてた紫色のピアスを外してつけた。

その間も瑠璃は号泣しながら紬に抱きつく。

そして、珍しく、紬は満面の笑みを浮かべた。



「じゃあ俺は依頼人とこいってくるわ」


「やっぱお前すげぇ鬼畜ぅぅぅ!!!!!」


「ボクの瑠璃があああ!!」



フリーズしたの帰ってきたか、緋色。


そしてそろそろ紬には勝てないと諦めろ。


ハハハと笑いながら去っていった紬。

瑠璃は後ろ姿を見ながら左耳のピアスを触っていた。

その表情は、珍しく微笑んでいた。



やっぱ、勝てねぇよ緋色。


紬には。




小波渡 蓮side end