小波渡 蓮side



"Alice"でもそうだけど、なんですぐ俺sideになるかね?

なに?やりやすいの?……ごほんっ。まあ、裏事情はここら辺にしときますか。



「弦さん?ミルクティーとカプチーノそれぞれ一杯ずつよろしく」


この店のオーナーの弦(げん)さんにそういえば、弦さんははいよーなんていってくれる。


五月蝿い緋色や素行不良の俺を快く雇ってくれる弦さんはなんて心が広い人なんだ!


俺は弦さんに感謝しながら、足を奥の部屋へと向ける。


扉ごしでも聞こる位、ぎゃーきゃー叫んでるやつがいる。

ぜってぇ緋色だ。


バンッ!とおもいっきりドアを開けると、そこはカオスだった。



「きゃあああ!!!!!やっぱり瑠璃かあいい!!!!!」


「…ひー、ろ…くる、し」


「ひーろだって!!聞いた!?つむぎっちゃん!!可愛い!!かあいい!!」



緋色によって抱き締め(つけ)られている瑠璃は、涙目だ。

紬は紬で無表情で緋色を見て……睨んでるし。

いや、助けてあげろよ。



「おい、緋色。瑠璃を殺す気か」


ひょいっと緋色から瑠璃を取り上げると、瑠璃はプルプルと震えながらひしっとすがり付いてきた。

……そんなに苦しかったのか。



「ボクの瑠璃を返してよぉ!!」


「何が"ボクの瑠璃"だ。瑠璃泣くぞ?今超涙目だからな」


頭を首筋にグリグリしてきて若干痛いんだからな。

つか、そーだよ、紬だよ。



「紬助けてやれよ。お前のだろ?」


「…お仕置きだ。言うこと聞かなかった罰だ。蓮はなんでもかんでも甘やかすから瑠璃は馬鹿なんだ」



ペットか。

つか紬、瑠璃のこと好きなんだよな?

その割には瑠璃のことボロクソいってんじゃんか。


瑠璃はぴょんと俺から飛び降りると、(いつもはトロい癖になんで今はこんなに素早いんだ)
紬の袖をぎゅっと握って上目遣いで見つめる。


「…ごめ、なさ、い。これ、からは、ゆー、こと、聞く……」


……あ、やば。なんかきゅんとした。

危ない道開くとこだった。


紬はギロリと瑠璃を睨んでいたが(好きなのに何故そこまで睨めるのかが俺は不思議だが)
瑠璃の頭をぽんぽん叩いた(いや、撫でた?)。


「……よし」

「!!!」


"よし"とともに凄い勢いで瑠璃は紬に抱きついた。


え、なに?犬か何かですか?


「……瑠璃は猫だろ」


「勝手に心読まないでくれますか紬さん」


超能力者か。