~10年前~


「かわいそうにね~、
交通事故ですって。」

「それに、2人ともでしょ?
まだ6歳なのに。」


そんな会話が聞こえてきた、

今日は陵介の両親のお葬式。

飲酒運転をしたトラックと正面衝突

をして陵介たち家族が乗っていた

軽自動車は、跡形も無いくらい

グシャグシャになってしまった。

唯一助かった陵介を守るようにして

陵介のお父さんとお母さんは、

倒れていたらしい。



私と陵介は、家が近所で 親同士が

高校の同級生で親友だった

こともあって、小さい頃から比較的

一緒にいることが多かった。



そんな私でも初めて見る陵介の表情

「っ……!」

涙は出てないけど唇を噛みしめて

こらえているみたい。

「どうしてがまんするの?」

「っ!……」

急に話しかけたのに驚いたのか

陵介はガバッと顔を上げた

「…オレは…今日から1人なんだ…
だから…泣いたりしてちゃ…
ダメなんだ…強くならなきゃ
いけないんだっ!!」

そう言う陵介はすごく

…苦しそうだった

「りょーすけはひとりじゃないよ」

「わたしがりょーすけを守るから!」

そう言って2人でいっしょに

大泣きした。