「いや、寒いだけだろ」

そう言った先生に、
「雅仁さん、夢がないです…」

わたしは言った。

「年齢をとればとるほど、現実を見るんだよ。

と言うか、見なきゃいけないんだよ」

先生は呆れたと言うように答えた。

そう話していたら、車はイルミネーションが有名な公園の駐車場に到着していた。

「今日が今日だから結構混んでたな」

車を降りると、先生が話しかけてきた。

「考えていることは一緒みたいですね」

笑いながら言ったわたしに、先生が手を繋いできた。

「たぶん、人はたくさんいるぞ。

間違っても手を離すんじゃないぞ」

そう言った先生に、
「はい」

わたしは首を縦に振ってうなずいた。