「失礼しまーす」

ガラガラとドアが開いた音がしたのと同時に、千秋ちゃんの声が聞こえた。

先生がいる数学準備室に入ったようだった。

「おおっ、田村か。

どうかしたか?」

先生の声だ。

「この間の授業で出されたプリントの提出にきました」

カサッと音がしたのと同時に、
「そうか、ありがとう」

先生がお礼を言った。

「あの…ちょっと相談したいことがあるんですけど、いいですか?」

そう言った千秋ちゃんに、
「珍しいな、何か悩みでもあるのか?」

先生が言い返した。

「その…友達の友達の友達の悩み、なんですけどね」

「友達の友達って…それって、友達って言うのか?」

確かに…。

チラリと千秋ちゃんに視線を向けたら、彼女はテヘッと舌を出していた。