「見えないところにね。

一晩置いたことによって、何か重大な手がかりが録音されると思ったから」

千秋ちゃんはそう言うと、再生のボタンに親指を置いた。

「美咲ちゃん、覚悟はできてる?」

千秋ちゃんが言った。

「覚悟って、どう言うこと?」

その意味がわからなくて聞いたわたしに、
「昼休みにちゃんと録音されているかどうか確認をしたんだけど…」

千秋ちゃんは何故だか言いにくそうだった。

わたしにとって何かよくないことが録音されていたの?

それが別れの原因になったかも知れないってこと?

「大丈夫だよ」

わたしは言った。

「どんなことが録音されていたとしても、全部受け止めるから」

そう言ったわたしに、
「じゃあ、再生するね」

ピッと、千秋ちゃんは再生のボタンを押した。