迷惑だ勘違いだ恋に恋してるって言われても、先生に対するこの気持ちは変わらなかった。

憧れでもなければ尊敬でもない、ただ純粋に先生のことが好きだからあきらめきれなかった。

だから、先生と両想いになれた時はすごく嬉しかった。

初めての恋も初めてのデートも初めてのキスも…それが全て先生で嬉しかった。

なのに、
「――もう、ダメなのかな…」

ネックレスのうえに、ポタリと雫が落ちた。

それがわたしの涙だと気づいたのは、すぐのことだった。

これ以上先生との思い出を振り返るのがつらくて、何よりネックレスを見ていることがつらかった。

机の引き出しを開けると、そこにネックレスを入れた。

先生がプレゼントしてくれたネックレスを捨てると言う選択肢は、わたしの中にはなかった。

「美咲」

1階からお母さんが呼んだので、わたしは自室を出ると階段を下りた。