一瞬、何を言われたのか全くわからなかった。

今、何て言ったの?

「僕と別れて欲しいんだ」

そう言った先生に、
「――えっ…?」

わたしは、声を出すことができた。

別れて欲しいって、どう言うことなの?

「雅仁さん、何があったの?

別れて欲しいって、何で?」

「別に何もないよ、そのままの意味だよ。

別れるのに、理由は必要か?」

「必要って…」

必要に決まっているじゃないのよ。

わたし、どうして先生に別れて欲しいって言われたのか全くわからないよ…。

「雅仁さん、わたし…」

「もう僕のことを“雅仁さん”って呼ぶのはやめてくれないか?

僕たちは先生と生徒なんだ、だからもう名前で呼ばないで欲しいんだ」

スマートフォンを持っている手が震えていた。