「今は何してるのかなとか仕事は大変かなとか大丈夫かなとか、いろいろですよ。

いろいろ考えていたんですよ、ね?」

最後の部分は、何故だかよくわからないけれど同意を求められたような気がした。

全く、ここまでくれば犯罪も同然である。

けれど、それに対して嬉しいと思っている自分がいることに気づいた。

こんな時間まで待ってくれていた彼女を愛しく思っている自分がここにいる。

「もう帰れ」

そう言った僕に、
「えっ、何でですか?」

荻原は訳がわからないと言う顔をした。

「何でって、親御さんが怒るぞ」

そう言い返した僕に、
「大丈夫ですよ。

友達の家に泊まるって、さっき電話しましたから♪」

荻原が言った。