仕事が終わって校内を出ると、夜の9時を回っていた。

「今日も大変だったな…」

季節はもう11月である。

冬はもうすでにきていると言うこともあり、すっかりと冷え込んでいた。

「おーっ、寒い…」

疲れた躰を引きずりながら学校内の駐車場へ行くと、
「せーんせ♪」

歌うような口調と共に顔を出したのは、
「荻原」

荻原が僕の目の前に立っていた。

「何だよ、こんな時間に」

そう言った僕に、
「わかりませんか?

先生を待ってたんです」

荻原が笑いながら答えた。

彼女のストーカー根性に僕は呆れた。

こんな寒空の下でよく僕を待っていられたな。