「どうして……っ!?」
自分の荒い息遣いだけが響いた。
目の前に、もう
3人はいない。
ここにあるのは、
高級な家具が似合いそうな
充分過ぎる広い部屋と
極シンプルなベッドやタンス。
味気のない、その部屋に
温かみや懐かしさを
感じることはなく
ただ空虚感が押し寄せるだけだった。
夢だったのだ、と気付く。
ずっしりと身体が
鉛のように重く感じる。
夢の中だったけれど、こんなに
感情的になるのは
いつぶりだろう…。
寝る時、柔らかい生地の
ネグリジェ以外を着た感覚は
もう覚えてない。
カーテンを開けると
一面に広がるのは、
背の高い幾つもの黒いタワーと
その間から覗く
見ることも儘ならない程の
金色の光を放つ朝焼け。